以前にテレビドラマで見た小説の原作を読んでみた。先日、亡くなった叔父さんの葬儀に出て、この小説を思い出し、読んでみたくなった。

今亡くなる年代の方々は、私たちより少し上のお年の方だから、どうしても成長過程に戦争の影が絡んでいる。
戦争に行った、行かないだけではなく、空襲被害や引き揚げ、疎開など戦争の後遺症とでもいうような境遇が絡んでいると思う。
この小説の主人公は65歳で第二の職場を定年退職して、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、救急病院に運ばれ意識不明の状態になってしまう。そのようななかで、主人公の脳裏に浮かぶ自らの生い立ちに関する物語である。
ネタバレになるのを申し訳なく思うが、主人公竹脇正一は孤児であった。孤児院で育ち、新聞配達員をして高校を出て、奨学金で国立大学を卒業し、一流商社に入社、役員にまで出世した。結婚もし、子供もでき、家も建てた。
奥さんにも、子供にも自分の両親の話はできなかった。彼は戦後数年後地下鉄の車内に捨てられ、周りの人たちに助けられて、孤児院に預けられたのであった。
主人公は、集中治療室に寝ている間に、夢の中にいろんな人が現れ、主人公とのかかわりを明らかにしていく。80代の女性、40代の女性、10代の女性、隣の患者、それぞれを通して、主人公の過去が明らかになってゆく。
最終章は、主人公の母が赤子を地下鉄の車内に残して、去ってゆく場面である。思わず涙が出てきてしまった。
読みながら、すでに亡くなった自分の両親を思い出し、私を育て上げてくれた苦労を思い、感謝の念がわいてきた。









































